(新建築 住宅特集 2025年10月号 掲載)
「境界を超える窓、都市を抱く暮らし」
建主
夫婦が見つけたのは、アーケード付き商店街に接する14坪の細長い敷地であった。
西側には商店街が広がり、北側と東側に隣家が接近している。さらに、南側の4m道路の向かいにも隣家がある環境であり、都市の息づかいが伝わるエリアであった。
住まいと商店街、生活と共同体が重層的に交わるこの都市性を背景に、本敷地は街の活動と密接に連続する場所にあった。
そして、地域住民が中心となって行うアーケードのメンテナンスに参加するため、住宅からアーケードの屋根へ登り、商店街の手助けをしながら地域社会と繋がりを保つ住宅を考えた。
住宅を通じてアーケード屋根に上がることで、地域住民が中心となって行うアーケードのメンテナンスに参加できる。
やがて、アーケード屋根は、人びとが行き交う「空中の道路」として機能するかもしれない。
これにより、南側の全面窓に構造ブレースを入れる必要がなくなった。
設計:奥和田 健 / okuwada architects
奥和田健建築設計事務所|担当 奥和田健・青木優嗣
構造規模:木造 2階建て|施工:カタヤマ建築工房|撮影:山田圭司郎