敷地は、大阪市阿倍野区の住宅と店舗などが密集する地域にある。長年この家で暮らす住人が、自らの住まいだけでなく、地域社会の循環と更新を目論んだ。
建築の基本構成は、狭小敷地内に外部空間となる空隙( Void )を貫き、Void に触れながら生活する、外部移動のみの住宅となっている。
そして、Void 及び開口部より都市風景を引き込みながら、自らの生活を風景として都市に与える相互侵食関係を誘導している。
相互侵食関係1
相互侵食関係2
そして、屋台( Teradacho Void / long coffee counter )が、奇数月に出される。
住宅にて、小さいが新しい地域経済をつくり、地域の店舗群と連携し「地域社会の循環と更新」を試みながら、地域コミュニティに代謝を与えている。
屋台(Teradacho Void / long coffee counter)開催時(コーヒー焼酎とコーヒーの屋台、奇数月の第1第3第5日曜日に開く)
住宅街で暮らす住民票をベースとした既存コミュニティと、まちの酒場に集まる流動的なコミュニティ(まちを利用している方々)が、融合をはじめる。
住宅を地域社会へ提供することで、地域社会の循環と更新がはじまり、コミュニティに代謝が生まれる。
Void 1F横にある「みんなの部屋」では、写真家の個展や映像展示などが開催される。また、みんなで使うテーブルがあり、住人も使用する空間となっている。
Void 2F部分。奥に4.5畳の和室があり、住人の読書スペースとなっている。屋台開催時には、この和室内で映像展示もある。
Void 2F部分。奥はLDKとなっている。都市風景の相互侵食部分へとつながる。
都市風景(街で人間の動き、長屋の経年変化など)を住宅内部へと引き込む。
自らの生活も都市風景へ提供する。
ワゴンに食材を置き、スツールに座り食べる。
2F Void とつながるリビング。
Void は 前面道路〜屋台〜1F〜2F〜3F〜そして空を貫いている。すなわち、風も通れば、雨も降る構成となっている。
Voidに触れながら外部移動することで、都市における自然環境を感じながら生活できる。
長年にわたり、Voidに住んでいると、温暖化や豪雨といった気候変動に興味を抱くようになる。
サニタリー
浴室からも、Void を味わえる。
2Fのキッチンはシェフに時々貸し出される。
友人たちも集まり、Voidに触れ合う。