この地で所有馬を預かる乗馬施設を営まれている家族が、本建築の建築主である。
乗馬施設には来訪者も多い。そのため来訪者が馬と触れ合ったあとに寛ぐことができる空間をつくること。そして、料理教室もできるキッチンスタジオをつくること。あわせて、宿泊もできる住居スペースを設けることが主たる要望であった。
敷地には2つの平場があった。アプローチに近い初めの平場は来訪者ゾーンを配置した。キッチンスタジオを計画し、厨房も来訪者ゾーンに計画した。そして、後方にある次の平場には住居ゾーンを配置し落ち着きを与えた。これら2つのゾーンをT型に繋げて互いの動線を確保しながら、用途を区分しつつ緩やかに接合した。平屋の構成となっている。
キッチンスタジオには、多数の来客が見込まれる。床面積はコンパクトではあるが、室容積を確保し来客者に豊かさを与えるため、天井の高さを上げた。されど、積雪への備えも必要なため、屋根を切妻状の勾配とし、本建築の外形状と内形状の特徴となる背の高い切妻屋根を構成した。
そして、西へと開けている敷地形状から、夕陽を室内へと導くべく、キッチンスタジオの屋根の妻部分に三角形のハイサイドライトを設けて、空を外部と共有した。
また、南側にある湖のような池を眺たく、軒天井の水平ラインまで開口部を設けて、周辺環境と一体となるように空間を計画した。