3年前の今日
僕は、橋本健二さんそして玉置順さんと3人で、とある展示に向けて準備の真っ最中だった。
建築家3人展「沼」というタイトルのもと、それぞれの建築作品を廻り、映像を撮り、さらにインスタレーションを展示する内容。
橋本さんは、ミラノサローネで展示した壁のない場で結界を表現され、玉置さんは自作の建築の写真などを持ち込み、僕も細い木組で立体を組み展示の準備をしていた。
会場は、5階建てのショールーム。担当営業の田中さんに無理なお願いをしながら、1階から5階まで、テープを張り巡らせたりし会場を構成。ショールームの皆さんには迷惑をかけたのかも知れないが、イベント当日は沢山の来客で盛り上がった。
会期の前後そして会期中は3人で飲み食いを沢山した。
僕にとっては、橋本さんも玉置さんも建築家の先輩にあたり、教えてもらう事も多く貴重な時間で、打合せが毎回楽しみであった。
映像撮りの時は、橋本健二さんの車(プリムス・フューリー)に乗り、それぞれの建築作品を廻った。京都、大阪、兵庫と、高速道路を気持ちよく走ったかと思えば、車幅より道幅が狭く入りにくい所もあって、バックしたり対向車に気をつかうたびに、橋本さんの優しさが表れて、なかなか前に進まなかったが、それも良き思い出である。
イベントが終わり、打ち上げで酒場へ
やっと終わったなど色々と話しながら
「もう一度、この展示をしましょう、3年後くらいに」と盛り上がった
だけど、
それは、もう叶わない。
6月初めに橋本さんが他界
先日は「故 橋本健二を偲ぶ還暦の会」があり、会場の味園ユニバースB1は超満員だった。
僕の事務所のロゴも考えてくれたグラフィックデザイナーの高草さんが、橋本さんのバンドのベーシストで、偲ぶ会で演奏すると聞いて、沢山の人が来ると思っていたけど、会場にいる全員が橋本さんとの思い出があり、悲しみつつも笑顔だった。
玉置順さんと、味園ユニバースで話をした
もう1度、沼を
あの展示を、したかったです。
偲ぶ会のあと、四天王寺の事務所に戻り
「沼」で撮影したショートムービーを開く。
3年前の今日が、戻ってきた。